クッシング症候群の原因
クッシング症候群は血中に副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが増加したときに起こる症候群です。
クッシング症候群の大部分は副腎皮質の腫瘍(線腫、まれにがん)によって起こりますが、約三分の一は、下垂棒線腫(大多数は小腺腫)のため下垂体からの副腎皮質刺激ホルモンが増加する場合や、がん(肺がん、膵がん)などの悪性腫瘍の分泌する副腎皮質ホルモンなどによります。
下垂体クッシング症候群は女子に多くみられます。
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クッシング症候群の症状
クッシング症候群は20〜30代の女性に多く、顔は赤く満月のようになり、肩はこんもりと肥満し、にきびが顔や背中にたくさんできます。
下腿や顔、背中が毛深くなり、躯幹や手、足のつけ根あたりに皮膚の裂けた線条ができ、手足に皮下出血がよく起こります。
月経異常、骨粗しょう症が起こり、しばしば高血糖、糖尿が出現し、口渇、多尿をうったえることもあります。精神症状が出現し、錯乱、自殺にまで至る人もいます。
高血圧による眼底変化が出現します。副腎皮質がんでは小児、女子の多毛症が著明です。
典型的な場合には、顔を見ただけでもクッシング症候群を想像できますが、ふとって高血圧、また糖尿病のあるときには、クッシング症候群の疑いもありますから、精密検査を受ける必要があります。
クッシング症候群と同様の症状にはリウマチ、膠原病、ネフローゼ、腎移植などのため、長期間ステロイドを服用しているときの副作用としてもみられます。
クッシング症候群では感染に対する抵抗力が弱く、しばしば結核菌やカビによる肺感染症を起こします。
クッシング症候群の診断
クッシング症候群の診断には、血中コルチゾールの測定が重要であり、高値となります。血中の副腎皮質刺激ホルモンは、副腎皮質の腫瘍のときには低下していますが、下垂体腺腫や副腎皮質過形成によるものでは増加しています。
ホルモンによる抑制試験や二四時間尿遊離コルチゾール排泄率、副腎スキャニングによる副腎の描出、CT検査、MRI、副腎血管撮影、副腎静腹中のホルモン測定、頭蓋X線検査をして、クッシング症候群が下垂体性のものか、副腎皮質の腫瘍によるものか、あるいは過形成によるものか、診断をはっきりする必要があります。
クッシング症候群の治療
副腎の腫瘍は外科的に摘出します。下垂体性のものでは、鼻から下垂体腺腫摘除の手術をおこないます(ハーディの手術)。
この手術によっても腺腫が発見されないとき、ガンマナイフによるクッシング症候群の治療が試みられています。薬物療法としては、中枢に作用するレセルピン、ブロモクジプチンや副腎皮質酵素阻害薬などがあります。
また放射性治療もクッシング症候群の治療としておこなわれます。顔がまるくなり高血圧、糖尿病のある人はクッシング症候群の疑いがあります。病院で受診してみてください。
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