虫歯の治療
虫歯は、腹圧と再石灰化のバランスの崩れからおこるので、その人の感受性を改善し、細菌の活性を低下させて、バランスを回復することが虫歯の治療の基本的な考え方です。
しかし、虫歯になってしまったら、エナメル質や象牙質の欠損は自然には治らないので、金属やレジン材(高分子材料)で虫歯の欠損部分を修復する必要があります。虫歯の状態により、適切な処置がたいせつになってくるのです。
歯の痛みがあるときは、クレオソートなどを虫歯の穴につめることで一時的に疼痛を抑えたり、飲み薬で痛みをやわらげることはできますが、このような家庭治療では、虫歯の進行はとめられません。
虫歯の痛みに対しては、歯科医に診断してもらい、正しい処置を受ける必要があります。 初期の虫歯に対する対応は、虫歯の進行を食い止め、唾液による再石灰化を促すこととされています。
現在ではさらに積極的な方法として、カルシウムやフッ素の導入がさけばれています。とくにキシリトールという糖アルコールは非酸度生の甘味料で、唾液の分泌量やプラーク中のカルシウム量を増やし、酸の産生を減少させます。
ですから、ショ糖などの酸産生食品を摂取した後に、すぐキシリトールを摂取すると、酸の産生を抑制することが知られています。また、虫歯の初期の病巣の再石灰化を促すともいわれています。
C0、C1の虫歯の治療
昔は白濁した部分 を削ってヽ金属やレジンをつめる治療 法が主流でしたが、現在では、治療を必要としない場合も少なくありません。
フッ素を含む歯みがき剤や含瞰剤(うがい薬)を使ったり、唾液の分泌を促すことで再石灰化を期待し、歯を削ることはしない方向にあります。キシリトールなども有効な時期といえます。
C2の虫歯の治療
虫歯症状が、水がしみるといった程度の場合は、虫歯の部分だけ削り取り、金属やレジンに置き換える治療が必要になります。
虫歯の症状がもう少しひどい場合には、鎮静効果のある薬を置いて歯の神経である歯髄の保護を行なったうえで、同様の充填処置が必要となります。
それでも症状が改善しないときは、歯髄の処置(除去)を行なわざるをえません。
C3の虫歯の治療
虫歯は歯髄にまで波及しており、お湯にしみるとか、夜間に激しい痛みがあるなどの症状があるので、歯髄の一部または全部を除去(技髄)する必要があります。
技髄した後は、歯髄のあった場所を人工物で緊密に埋めます。 その後、歯牙の欠損状態によりますが、金属やレジンで土台をつくり、その上に金属による補綴(冠をかぶせる)を行ないます。
C4の虫歯の治療
残った根の虫歯の治療を行なった後、金属の土台をつくり、人工歯冠をかぶせることもできますが、多くの場合、保存がむずかしく、抜歯が適応となります。