言語障害とは
ことばによるコミュニケーションの障害は、大きく分けて聞こえの障害(聴覚障害)、発音の障害(構音障害)言語中枢の障害(失語症)に分けられます。
このうち構音障害と失語症をあわせて言語障害と呼びます。 構行障害は、器質的構音障害、機能的構音障害、運動障害性構音障害に分類されます。
言語障害〜器質的構音障害
くちびる、舌、口蓋、声帯などの発語器官の形に異常があるため、その器官が担当する語音にゆがみのおこる言語障害を器質的構音障害いいます。
器質的構音障害の原因となる代表的疾患として先天的な形成異常である口蓋裂、後天的なものでは口腔・咽頭のがん切除後の変形などがあげられます。
言語障害2〜機能的構音障害
子どもは、ことばの発達にともなって少しずつ正しい発音を覚えていき、6歳前後でほばすべての日本語の音のパターンを出し分けられるようになります。
たとえば2〜4歳の子どもが母親のことを「おかあしゃん」と呼ぶのは、正常な発達経過にみられる未熟な発音と考えられ、構音障害とはいいません。
これに対し、発語器官に形の異常や運動障害がないにもかかわらず、その子どもの発達段階を逸脱し、ときには成人までもち越して固定した発音の誤りのある言語障害を、機能的構音障害といいます。
言語障害3〜運動障害性構音障害
神経〜筋系の病気による発声発語運動の言語障害を運動障害性構音障害といいます。脳血管疾患の後遺症にみられる「内容はしっかりしているけれども、ろれつの回らない話し方」に代表される発音の異常がこの言語障害の特徴です。
痴呆や失語を合併しないかぎり、ことばの内容や理解に異常はみられません。
言語障害4〜失語症
ことばの生成、理解をつかさどる脳の機能のうちで、概念を文章へ、さらに文章を音節のつながりへ変換する過程や、逆にことばのつながりを概念として理解する高位の中枢の障害によっておこる言語障害が失語症です。
障害は、話しことばだけでなく、文字による表現や理解にもおよびます。
言語障害の治療
言語障害の機能訓練は、言語聴覚士(ST)という医療専門職が担当します。
医療現場ではSTは、病院の脳神経外科、耳鼻咽喉科、形成外科、歯科、口腔外科、リハビリテーション科などに所属しており、必要に応じて福祉・教育領域の言語障害担当職と連携をとりながら、失語症、構音障害のほか、聴覚障害、嚥下障害(飲食物を飲み込めない)の機能回復訓練を行ないます。
構音障害に対する発語器官の運動機能訓練や、失語症に対することばの表出・内容理解の訓練などの基礎的なことから、これを実際の発話に結びつけ、さらに家庭内、社会適応でのコミュニケーション能力を高めることまでが仕事となります。
医療現場ではたらくSTは、全国の大学や専門学校で養成されていますが、まだ数が少なく、聴覚言語療法を必要とする言語障害者総数二〇〇万人に対して、絶対数の不足が問題となっています。
言語障害のリハビリテーション環境は、徐々に改善されつつありますが、言語障害の人すべてに十分な訓練を行なえる現状ではありません。
言語障害に対する機能訓練を希望する人は、言語訓練部門をもつ医療機関の専門外来で相談することをお勧めします。