子どもの虫歯
虫歯は、ストレプトコッカス・ミユータンスなどの菌が原因で、歯がとけてくる病気です。
子どもの虫歯は滅少しつつあり、虫歯の程度も軽くなりつつあるとはいえ、一歳児で全体の約10%、2才児で約40%、3才になると70%以上の子どもに虫歯がみられます。
子どもは、生後6ヶ月から乳歯が生え始め、二年半から三年で生えそろいます。この乳歯が虫歯にかかりやすいのは、二歳から五、六歳にかけてといわれています。
一方、永久歯は、六歳ころに生え始め、親しらずを除くと、15歳ころに生えそろいます。この永久歯が虫歯にかかりやすいのは、12歳から20歳にかけてです。
子どもの虫歯は
@進行が速く、約一年で相当深くまで進んでしまう
A同時にたくさんの歯が虫歯になり、また、歯の側面に虫歯ができると、隣りあっている歯もおかされやすい、
B自覚症状がはっきりせず、どの歯が痛むのか特定しにくい
C子どもがいやがるので治療がむずかしい、といった特徴があります。
子どもの虫歯の治療
乳歯も永久歯も、生えて間もない時期に子供の虫歯が発生しやすいのです。その理由は、歯が生えて間もない時期には、唾液によるエナメル質の保護強化作用がまだ十分にゆきとどいていないため、虫歯に対する抵抗力が弱いからです。
唾液は、ものをかんだり、しゃべったりするときの潤滑油の役目をはたすとともに、歯の表面について歯を保護しています。しかし、唾液の効果がエナメル質におよぶまでには、何年もの時間が必要で、生えて間もない乳歯や永久歯のエナメル質は、十分に保護・強化されていません。
そのため2〜5,6歳の乳歯や、11〜19歳までの永久歯では、虫歯になりやすいのです。さらに、子どもは、糖分が多く、歯に付着しやすいおやつ類を好むこともあって、溝の形が複雑な乳臼歯には、とくに糖分や歯垢(プラーク)がたまりやすくなります。
そのほか、幼児では、自分で歯みがきが十分にできないことも、虫歯が発生する原因となります。 また、虫歯の原因となる細菌は、生まれたときには、口の中には存在しません。
乳歯が生え始めるころからみられるようになりますが、これは、お母さんが口うつしで食べ物を与えるなどして、お母さんの口から子どもの口にうつる場合があるからです。
そのため、お母さんの口腔ケアも、子どもの虫歯の予防に関係してきます。
子供の虫歯の症状
乳歯は合計20、永久歯は全部で32本ありますが、このなかでも、とくに虫歯になりやすい歯があります。乳歯では、上顎の前歯と上・下顎の臼歯に虫歯ができやすいといわれています。
永久歯では、上・下顎の大臼歯と上顎の前歯が虫歯にかかりやすい部位です。 虫歯ができると、歯がしみたり、歯が痛んだりします。そのほか、食事が食べにくい、かみにくい、しゃべりにくいなどの弊害もおこします。 虫歯の進行の度合いによって、症状が五段階に分けられます。
子供の虫歯の治療
子どもの虫歯は治療をいやがるなどの理由でむずかしいことが多いものです。 ただし、乳歯が虫歯になった場合でも、放置すると、後から生える永久歯にも悪影響をお上ぼしますので、早めに治療を受けるようにしてください。
虫歯の治療は、虫歯の進行状態にあわせて、歯の痛みをとったり、歯冠修復や充填を行ないます。また、歯垢の除去、歯みがき指導などもあわせて行なわれることがあります。
正しい歯みがきをすることは、たいせつです。長年にわたって、あやまった歯みがきを続けると、歯ブラシによる慢性的な作用で、歯ぐきに近い部分がすり減って、欠損ができます。
この磨耗症は、虫歯とはちがい、歯質が失われるもので、知覚過敏の原因にもなります。磨耗症では、知覚過敏や虫歯に準じた治療が必要になります。
歯ブラシの影響だけでなく、かみ合わせを磨耗症の原因とする意見もありますが、ともかく、正しい歯みがきがたいせつになります。