急性喉頭炎とは
喉頭に生じた急性炎症が急性喉頭炎ですが、喉頭だけに炎症がおこることはまれで、ほとんどが急性上気道炎に合併しておこるために、急性鼻炎や急性咽頭炎もともなっています。また、急性気管支炎も併発することがあります。このような急性上気道炎の部分症状として生じるものは、急性単純性喉頭炎（急性カタル性喉頭炎）と呼ばれます。 また、喉頭のなかでも声帯の炎症が強い場合は、急性声帯炎と呼ばれることがあります。
急性上気道炎の症状
急性上気道炎の諸症状に加えて、声帯の炎症によるしわがれ声がおこります。 声帯粘膜の炎症が強く、急性の浮腫状態になると、失声（声部でない）に近い暖声部おこることもあります。 声帯の炎症が軽度で、その他の喉頭粘膜の炎症が強いときには、眼下痛（飲み込むときののどの痛み）や咽喉頭異常感が主体になります。間接喉頭鏡や喉頭内視鏡で観察すると、声帯粘膜やほかの喉頭粘膜の発赤、血管の充血がみられることで診断できます。
急性喉頭炎の原因
急性上気道炎をおこすウイルスの感染が原因ですが、二次的に網菌感染もおこしていることかあります。また、喫煙者は慢性喉頭炎をおこしていることがあり、これが急性増悪をおこすと、急性喉頭炎と同じ症状が現われます。急性炎症がおこっているときに飲酒をすると、炎症がさらにひどくなります。
急性喉頭炎の治療
急性上気道炎に対する対症療法が中心です。 のどの痛みや発熱に対しては解熱性鎮痛薬、鼻汁に対しては抗ヒスタミン薬、細菌感染が疑われる場合には抗生物質や抗菌薬を内服で使用します。また、抗生物質や副腎皮質ホルモン薬をのどに噴霧します。喫煙・飲酒はひかえます。
慢性喉頭炎とは
喉頭粘膜の軽い炎症が長期間持続している状態を、慢性喉頭炎といいます。 病気の状態によってさまざまですが、慢性カタル性喉頭炎または慢性単純性喉頭炎がほとんどです。特殊なものでは、萎縮性鼻炎に合併する萎縮性喉頭炎や喉頭結核、シエーグレン症候群にともなうもの、アレルギー性喉頭炎、声帯粘膜の肥厚が主症状の慢性肥厚性声帯炎などがあります。
慢性喉頭炎の症状
声帯に慢性炎症がある場合は声がれが主症状です声門上部の喉頭粘膜に慢性炎症があると咽喉頭異常感、とくに乾燥感や異物感がおこります。気管や気管支に慢性炎症があると、せきやたんなどもみられます。急性増悪をきたすと急性喉頭炎と同様な症状がおこります。
慢性喉頭炎の原因
喫煙が原因のことが多いのですが声の酷使や急性喉頭炎の反腹、刺激性ガスや塵埃の吸入、大気汚染なども原因となります。乾燥した環境での仕事に従事している場合にもおこりやすくなります。
慢性喉頭炎の治療
喫煙者は禁煙が必要です。飲酒は、慢性炎症を助長するので、治るまでは飲酒もひかえるべきです。加湿器を使用し、周囲の乾燥を防ぐようにします。 気道液の分泌を促進させる薬物や漢方エキス剤の内服、副腎皮質ホルモン薬や〇・一％程度のエピネフリンの喉頭ネブライザー、喉頭注入が行なわれることもあります。アレルギー性喉頭炎では、さらに抗アレルギー薬も用いられます。急性増悪時には、急性喉頭炎と同様の治療が必要になります。