骨肉腫とは
骨肉腫は、悪性骨腫瘍(骨のがん)のなかでは、もっとも発生数の多い腫瘍です。 少し専門的になりますが、この腫瘍の細胞は、幼弱な骨の組織をつくる能力をもっています。
●骨肉腫の頻度
日本整形外科学会では、全国の骨腫瘍の患者さんの登録を行なっていますが、毎年、百数十例の骨肉腫の患者さんが登録されています。
この骨肉腫患者数が、すべてのがん発生数の何%にあたるのか明らかではありませんが、全悪性骨腫瘍の発生率は、10万人に対して0.8人といわれています。
また、骨肉腫は、悪性骨腫瘍全体の40%ちかくを占めています。 しかし、胃がんや肺がんに比べて、骨肉腫の発生数は、きわめて少ないといえます。
小学生から大学生といった若い年齢層に多くみられ、治療成績が、いまだに満足できるようなものではないことが問題点となっています。
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骨肉腫の症状
はじめ、走ったり跳んだりしか後に、膝の関節が痛んだり、ボールを投げたりした後に、肩の関節に痛みを感じたりします。
痛みは、安静にしていると軽くなるので、多くの人は、スポーツによる痛みと考えます。事実、大部分の痛みはそうなのですが、骨肉腫の場合は痛みがだんだん強くなり、安静時でも痛む赤(赤くなる)、熱感(さわると熱く感じる)、さらに関節の動きが悪くなり(可動性制限)、脚をひきずって歩いたりすることもあります。
たいていの人が、この時期に医師を受診しますが、最初の痛みがおこってから2〜3か月たっています。 したがって早期発見のためには、このような痛みが一か月以上も続く場合、整形外科を受診して、骨腫瘍であるかないかを確かめる必要があります。
骨肉腫の検査
もっとも簡便な骨肉腫の診断方法はX線検査です。X線像だけで診断ができることもあります。 しかし、骨肉腫の疑いが強い場合には、X線像のほかに、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)、血管造影(造影剤を血管に注入して血管のX線写真を撮るもの)、骨シンチグラフィー(アイソトープによる画像で腫瘍を見つける検査)などの検査を行ないます。
また、血液に含まれるアルカリホスファターゼを検査したり、脳への転移を調べるために肺のX線検査やCT検査を行ないます。
最終的な骨肉腫の診断は、腫瘍の組織の一部をとって顕微鏡で調べる病理組織学的検査を行ない、その結果と、いろいろな検査の結果を総合して決定します。
骨肉腫の治療、手術
骨肉腫の治療は、手術と抗がん剤などを使用する化学療法が中心ですが、ときに放射線療法が加わることもあります。
骨肉腫の手術が不可能な場合には、化学療法、放射線療法が行なわれます。
・手術療法
三〇年ぐらい前は、骨肉腫の発生した四肢(腕や脚)を切断する切断術、関節から切り離す関節離断術が行なわれていました。
しかし、化学療法の発達によって、腕や脚を切らないようにする手術が広く行なわれるようになりました。手術では、腫瘍を、骨を含めて切除し、骨の切除された部分は、人工関節、人工骨など、いろいろな材料を用いて再建します。
こうした手術は、すべての人に行なうわけにはいきません。腫瘍がさほど大きくない、化学療法がよく効く、主要な血管や神経を切らずにすむ、といったときに、患肢温存手術の対象となります。
化学療法 骨肉腫は、血管に悪性の細胞が流れ込んで、しばしば肺に転移します。 この肺への転移を防ぐことが、生命を救うたいせつな治療の一つです。
そのため、骨肉腫の診断が確定すると、抗がん剤などを使った化学療法が行なわれます。
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