圧迫骨折とは
直接または間接的に加わった強い外力によって本来一塊である骨のつながりが途絶えてしまう状態が骨折です。
完全につながりが絶たれる完全骨折と部分的に繋がっている不完全骨折に分けられます。圧迫骨折は左右から骨を押しつぶすような力が働いたためにおこってしまう骨折のことです。
圧迫骨折で代表的なものは脊椎圧迫骨折と腰椎圧迫骨折があります。ここでは脊椎圧迫骨折について説明していきましょう。
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脊椎圧迫骨折とは
脊椎の椎体が、重力がかかる方向に加わる力によって、骨折をおこしてつぶれる病気です。骨粗鬆症がある高齢者によくみられ、多くは胸椎から胸椎と腰椎の移行部にかけておこります。
脊椎圧迫骨折の症状
骨が正常である成人男子にはまれな病気で、高い所から墜落したなど、大きな力が脊柱の軸方向に加わった場合にしかおこりません。
こうした事故の場合、脊椎の圧迫骨折だけでなく、他の部位の骨折(骨盤骨折や下肢骨骨折など)や臓器の損傷をともなうこともまれではありません。
しかし、骨粗鬆症がある高齢者では、比較的軽い力が加わっただけで、あるいは、ほとんど外傷が加わらなくても、自然に椎体の圧迫骨折がおこることがあります。
そのほか、くる病や骨軟化症、賢性骨異栄養症などのような代謝性の骨の病気によって、骨の強度が低下している場合に圧迫骨折がおこることもあります。
もっとも多くみられるのは、骨粗鬆症が原因でおこるものです。高齢の女性の背中が円くなっていく(老人性円背)のは、胸椎に白然におこった多発性圧迫骨折が原因です。
脊椎圧迫骨折の検査
高齢者が、屋内で尻もちをついたくらいの軽い外傷で背中の痛みを訴えたら、脊椎圧迫骨折を疑ってみる必要があります。
著しい骨粗鬆症がある場合は、せきをした程度でも骨折することがあります。 圧迫骨折がおこった部分に、痛みを訴えます。
急性期には、寝返りや前かがみなどさえもできないほどの強い痛みを訴えます。 圧迫骨折をおこした脊椎のあるところの背中に、突起が飛び出したようになりそこを軽くたたくと痛みが増強します(叩打痛)。前かがみによって痛みが増強します。
ふつうは、下肢(脚)のしびれや筋力低下など、脊髄神経による症状はありません。老人性円背は、白然におこってくるものですから、このようなひどい痛みはともないません。
単純X線撮影の側面様を見ると、脊椎の椎体前方(腹側)が、つぶれたくさび型に見えます。 ただし、がんなどの悪性腫瘍が転移したためにおこる圧迫骨折もありますので、正確な診断が必要です。
診断を確定するために、必要に応じて血液検査、CTやMRIなどの特殊な検査を行ないます。
脊椎圧迫骨折の治療
下肢の痛みやしびれなどの神経症状をともなわない、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折は、1〜2週間、安静にしているだけで、痛みはしだいに軽くなっていきます。
簡単な腰椎固定バンドなどで固定し、痛みが軽くなるまでべッド上で安静にしますが、あまり厳重に仰臥位(あおむけ)を強制せず、患者さん自身でできる範囲の寝返りは自由にしてさしつかえありません。
患者さんが高齢の場合、長期間べッドで安静にしていると、呼吸器や尿路系の感染をおこしたり、痴呆が発生することがあります。
そのほか、急速に下肢の筋力が低下し、起立・歩行できるようになるまで、さらに長期間を要するようになることもあります。
ですから、痛みが軽くなったら、固定バンドを巻いたまま、一日も早く起きて、歩く練習を始めます。
また最近では市販のハードガード・ソフトなどの腰痛ベルトも効果が高いようです。