変形性股関節症とは
股関節の軟骨がすり減ったり、関節の形が変わっていく病気が変形性股関節症です。日本では、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全（股関節の屋根となる臼蓋のかぶり方が浅い状態）があって、治療しても、それが治っていない人に多くみられます。
そのほか、外傷や炎症、股関節の血行が悪くなった後でも変形性股関節症はおこります。
変形性股関節症の症状
症状は、おもに運動時の痛みです。痛みの程度は、股関節の変形の程度や、軟骨のすり減りぐあいによってちがってきます。
変形性股関節症の進行度によって、前股関節症、初期股関節症、進行間股関節症、末期股関節症の四期に分けられます。
前股関節症は、臼蓋の形成不全はありますが、軟骨は十分残っている状態です。長く立っていたり歩行時に、股関節に重だるい感じや軽い痛みがありますが、休むと消えてしまう程度です。
初期股関節症では、股関節の間の軟骨が少しすり減って、股関節のすき間（関節腔）も狭くなってきます。股関節の動きも少し悪くなり、痛みも強くなってきますが、まだ、休めば痛みはなくなります。
進行期股関節症、末期股関節症になると、痛みや股関節の動きの制限は、個人差はあるものの、ひどくなります。長く立っていたり、歩いた後の痛みが、休んでも続くようになります。
進行期のＸ線写真を見ると、関節腔も、よいほうの股関節に比べ、半分ぐらいまで狭くなっています。 末期では、軟骨はまったくなくなり、骨の変形もひどくなってきます。
したがって、前股関節症の時期から年に1〜2回は診察を受け、変形性股関節症の進行状況を却っておくことが必要です。
病気の進行状況によって治療法もちがってきますので、変形性股関節症になった場合、整形外科医に十分相談する必要があります。
変形性股関節症の治療、手術
基本的には、股関節にかかる負担を少なくすることです。したがって、体重の減量、スポーツなどの制限が必要になります。
また、股関節の周囲の筋肉の強化も必要です。 歩くときにからだが大きく左右に揺れる人は、つえの使用を勧めます。
しかし、変形性股関節症の経過をみている間に痛みが強くなってくる場合は、手術を考えなければならなくなります。このときにたいせつなことは、その人の年齢、性別、職業、社会的環境などによって、変形性股関節症の治療方針がちがってくる点です。
たとえば、働き盛りの男性で、重労働の仕事をしている人では、片側の股関節が障害されている場合、関節の動きを止めてしまう関節固定術が適応となります。
50歳以上で股関節の変形が強く、重労働をしない人では、人工関節に換える手術が適応となります。このほかにも臼蓋形成術などの手術方法がありますがどの手術を受けた場合でも、手術後は日常生活に注意し、股関節に負担がかからないようにする必要があります。