真珠腫性中耳炎とは
鼓膜や外耳道の皮膚が中耳腔へ進入し、袋状にふくらむ病気です。この皮膚の袋が真珠腫で、それが、耳とその周辺の骨を徐々に破壊していきます。
真珠腫性中耳炎には先天性と後天性とがあります。後天性の場合は、滲出性中耳炎が長引いて頭膜が陥凹し(へこみ)、鼓膜の皮膚が様々に中耳腔へ侵入しておこります。
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真珠腫性中耳炎の症状
骨の破壊がおこらなければ、ほとんど真珠腫性中耳炎は症状がありません。
しかし、外耳道から水が入って感染がおこると、耳だれが出ます(耳漏)。また、真珠腫がたまりすぎると耳痛がおこることがあります。
骨が破壊されると、真珠腫性中耳炎ではつぎのような症状がおこってきます。
伝音難聴
三つの耳小骨が破壊され、耳小骨連鎖に障害がおこると伝音難聴になります。
しかし、真珠腫の進脱皮と聴力障害とは比例しないことが多く、聴力は正常でも、以下のような合併症がおこることがあります。
・めまい
真珠腫が、外側半規管や前庭を破壊するとめまいがおこるようになります。
耳の中を触ったり、吸引したりするとおこるめまいをろうこう症状といい、真珠腫性中耳炎によるめまいと診断する決め手となります。
感音難聴
内耳窓から中耳の炎症が波及したり、真珠腫が侵入したりして蝸牛が障害されると感音難聴になります。この難聴は、治ることがほとんどないのですが、発症から二週間以内の手術で聴力が改善することもあります。
顔面神経まひ
中耳のきぬた骨、あぶみ骨の裏側には、顔面神経が走行していて、ここを真珠腫が圧迫したり、炎症がおこったりすると、顔面神経まひがおこります。
頭蓋内合併症
真珠腫が、頭との境の骨を破壊すると、炎症が波及し髄膜炎がおこります。これが、脳膿瘍などに進展すると生命が危険になります。
真珠腫性中耳炎の診断、検査
真珠腫性中耳炎は耳の中を観察すれば比較的簡単に診断がつきます。 真珠腫の進展具合、合併症の有無を訓べるためにCT検査が必要です。
真珠腫性中耳炎の治療
真珠腫性中耳炎は外来で治療できることはまれで、頭蓋内合併症の予防と難聴の治療のために入院しての手術(鼓室形成術、中耳根本術)が必要です。幼少児期の滲出性中耳炎をしっかりと治療しておくことが必要です。
とくに鼓膜の上方(弛緩部)が陥凹している場合は、耳鼻咽喉科医による長期間の観察が必要です。
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