急性虫垂炎(盲腸)とは
盲腸は大腸の一部であり、そのさきにみみずのようなかたちでついているのが虫垂です 。虫垂の長さは7〜8cmあります。
一般に盲腸炎といっているのは、急性虫垂炎か、虫垂を中心として周囲に炎症の及んだものですから、ほんとうは急性虫垂炎というべきです。
虫垂は有害な菌を攻撃する役目をもっている白血球をつくったり、たくわえたりする作用をしているという学者があり、腸のはたらきをととのえるホルモンを出しているという学者、たんぱく賃率炭水化物を分解する酵素を分泌していると主張する医者もいます。
いずれにしても、何かの役目をしていると想像できます。 しかし、虫垂を切り取っても、べつにからだにわるい影響のないことが長年の多数の経験からあきらかにされています。
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急性虫垂炎(盲腸)の原因
急性虫垂炎の原因ははっきりわかっていません。 健康な人の腸のなかには無数の細菌がいますが、平常、虫垂の粘膜がこの細菌でおかされることはありません。
それがある条件のもとで急におかされるのはなぜか、その点が説明できにくいのです。いろいろな理由が考えられています。
暴飲暴食、過労、便秘などが誘因になると考えられています。 未開人より文明人に多いともいわれています。ブドウの種とか、スイカの種とかが虫垂炎の原因になるといわれたことがありましたが、原因になることはないと考えていいでしょう
急性虫垂炎(盲腸)の症状
今まで健康だったのに、急に腹痛が起こり、急性虫垂炎を発病しますが、発病の数時間、数日前から、多くはなんとはなしに腹の調子がわるかったことに気づくものです。
腹痛が起こってくると、続いて吐きたい気持ちになったり、実際に嘔吐したりすることが多いものです。 痛みの場所としては、はじめから右の下腹であることもありますが、半数以上はみぞおち、へそのあたり、横腹、右上腹、左腹、腰などからはじまります。
このような時期でも、右下腹部を押すと、盲腸付近のところに痛みを感じます。時間がたつにつれて(多くは数時間から一昼夜ぐらいの間)、右下腹部に痛みが集中してきます。
非常に痛くてたまらないという場合が多いのですが、それほど痛みが強くないこともあります。 痛みが強くないからといって、虫垂の変化が弱いとは限りません。体温はまったくふつうであるか、あっても微熱程度です。さむけを伴って高い熱の出ることもありますが、むしろまれです。
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急性虫垂炎(盲腸)の治療
急性虫垂炎は外科的に手術するのが最上の方法です。軽症であるようにみえても、いつわるくなって腹膜炎を起こすかわからないからです。
外科療法が進んだので、虫垂が破れて腹膜炎を起こしてから手術しても、むかしのように多数の人が死ぬということはなくなりましたが、やはり危険です。
腹膜炎で手術を受けると、術後長い期間入院していなければなりません。 二度、虫垂炎にかかると、抗生物質の投与などの内科療法でよくなっても、再発しやすいものです。
手術は安全で、手術をすれば一週間で退院できるので、内科治療より早く治ります。こうしたことから、手術がおこなわれるのです。
むかしから48時間以内であればよいといわれていますが、数時間で破れることもあるので、やはり早めに手術したほうがよいということは、化学療法(抗生物質による治療)が発達した今日でもすこしも変わっていません。