急性腎炎とは
糸球体に急性炎症が起こる病気で、子どもや若い人に多いのですが、成人でもかかります。急性腎炎は、溶血性連鎖球菌、その他の細菌が扁桃炎などの感染を起こしたあとに生じます。
細菌の成分が抗原となり、抗体ができて抗原抗体反応が糸球体で起こる結果、腎炎が生ずると考えられています。
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急性腎炎の症状
38〜39度の発熱、のどの痛み、扁桃炎や咽頭炎が起こり、抗生物質、その他の治療でのどの症状が治ってから、1〜2週間して発病することがほとんどです。
最初に気がつく急性腎炎の症状は、尿が濃くなり、かつ尿量が少なくなること、時に血尿を出すこと、まぶたがはれてくることなどです。
そのうち、だるくて食欲もなくなり、たいがいこの時点で医師の診察を受け、尿の検査、血液の検査から急性腎炎と診断されます。 急性腎炎では多くの例で血圧も高くなります(特性高血圧)。
むくみがだんだん強くなり、重症なときには目をあけられなくなったり、尿がほとんど出なくなります。高血圧がいちじるしいと、特に子どもではけいれん発作を起こしたり、左心不全を生じて呼吸困難を起こしたりします。
急性腎炎の予後
急性腎炎は、その名のとおり急に発病しますが、その経過も急で、さいわいなことに、90%以上の例が1〜2ヵ月のうちに、完全によくなります。
よくなるきざしは、尿量がふえ、尿の色も薄くなり、血圧ももとに戻り、むくみがとれてくることです。完全に治癒したかどうかは、くり返しておこなう検尿で、たんぱく尿が陰性に赤血球が認められなくなることで判定します。
ごく一部の例では、症状が消えても、尿を調べると、いつまでもたんぱく尿や赤血球が認められます。
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急性腎炎の治療
さきに述べたように、急性腎炎は原則として、治療可能な病気です。そこで、糸球体の炎症が落ち着くまで、なるべく腎臓に負担をかけないようにするのが、治療の基本です。
このため、急性腎炎では、安静と食事療法が治療の中心となります。 まず、血尿やむくみ、高血圧のあるときは絶対安静を守ります。
このような急性期の食事は、食塩とたんぱく質を強く制限します。その程度は、腎臓のはたらきの障害の程度で異なりますが、発病後一週間くらいは、少なくとも一日の摂取量を食塩三g、たんぱく質体垂一s当たり〇・五gとし、重症のときは両方ともゼロとします。
水分の摂取景も、尿量の少ないときは制限します。その後の経過によって、安静の程度と食事療法の内容が変わってきます。
急性腎炎では慢性腎炎やネフローゼと異なり、それほど長期にわたる制限ではないので、厳重な食事療法が大切です。 急性腎炎それ自体に効く薬はいまのところありませんが、高血圧や尿量の減少などがいちじるしいときには血圧降下薬や利尿薬が投与されます。
扁桃炎などの細菌感染の続いているとには、腎臓に害を与えることの少ない抗生物質の投与もおこなわれます。ごくまれに無尿が続き、急性腎不全となることがありますが、このときには透析治療が必要となります。