急性白血病の原因
血液中の血液細胞は、骨髄で作られます。初めは未熟ですが(芽球)、やがて成熟し、完全な細胞に分化します。
急性白血病はこの成熟・分化の能力を失った未熟な細胞が、骨髄内で無制限に増殖してくる病気です。このため、骨髄での血液をつくるはたらきが低下し、貧血、好中球減少、血小板減少といった血液組成の異常がおこってきます。
また、悪性の細胞が血液の流れとともに全身をめぐるために、いろいろな臓器に侵入し、そこに障害をおこします。 増殖する白血病細胞の種類によって、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に大きく分けられています。
さらに、急性リンパ性白血病は3つに、急性骨髄性白血病は8つに分類されます。 骨髄性白血病とリンパ性白血病の割合は、おとなでは四対一、逆に子どもでは、一対四の割合になります。
・急性骨髄性白血病
白血球のうち、とくに顆粒球となるはずの芽球ががん化します。ペルオキシダーゼ染色という特殊な検査で反応する芽球が三%以上ある白血病です。早期発見できれば、治療が可能です。
・急性リンパ性白血病
リンパ球ががん化し、血液や骨髄中で増殖します。ペルオキシダーゼ染色に反応する芽球は三%未満です。
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急性白血病の症状
疲れやすい、動悸、息切れなどの貧血の症状のほか、発熱、寝汗などがおこります。歯肉出血、鼻出血、皮下出血などをおこしやすい出血傾向がみられることも多く、とくに急性前骨髄球性白血病は出血がおこりやすいものです。
また、胸骨(胸の中央に縦に長く触れる骨)を指先で軽くかたくと痛む叩打痛、リンパ節の肺れ、肝臓と脾臓の腫れなどもおこります。
急性白血病の検査
急性白血病の診断には、血液検査と骨髄穿刺が必要です・静脈から血液を採取して調べると、赤血球が減少している貧血と、血小板の滅少がみられます。 白血球数は、増加していることが多いのですが、三分の一の人は正常よりも滅少しています。白血球中の悪性の白血病細胞の比率はさまざまです。
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急性白血病の治療
急性白血病は血液専門医のいる病院でないと治療を行ないにくいものです。治療の目標は、いろいろな方法で白血病細胞を絶滅させ、正常な細胞の再生をはかることで、つぎのようにして治療を進めていきます。
なお、お年寄りでは、薬の副作用や合併症をおこしやすく、急性白血病の治療がむずかしいことが多いため、生活の質を配慮した治療が行なわれます。
・緩解導入療法
抗白血病剤を使用し、できるだけ白血病細胞を減少させることを試みます。 抗白血病剤は、白血病細胞だけではなく、正常な造血細胞やその他のからだの細胞も障害することがあり、貧血、好中球や血小板の減少が一時的に悪化したり、嘔吐、脱毛、肝障害などの副作用がおこったりします。
・支持療法
急性白血病では、出血をおこしやすく、感染に対する抵抗力が低下するので、大量出血や細菌などの感染によって、ときに生命にかかわることがあります。このため、無菌室に入室したり、抗生物質を大量に使用したりして感染に対処し、たびたび輸血をして出血に備えたりします。
・維持強化療法
完全緩解の状態を続けるために、抗白血病剤の使用など、必要な治療を続けます。 最近では、体内に残存している白血病細胞を絶滅させ、治癒の状態にまでもっていくために、免疫療法などがさかんに行なわれるようになっています。
・骨髄移植
新しい薬剤の開発などにより化学療法の成績もあがっていますが、白血球抗原の適合や患者さんの年齢・健康状態などの条件がそろえば、骨髄移植が検討されることもあります。 白血球抗原の形が一致する骨髄提供者から輸血することで移植します